女性特有の病気(婦人疾患)

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女性特有の病気(婦人疾患)

膀胱炎

膀胱炎とは、尿道口から大腸菌などの細菌が膀胱に侵入して起こる病気で、急性単純性膀胱炎と呼ぶこともあります。感染が原因である急性単純性膀胱炎に対して、間質性膀胱炎はアレルギーや肥満などがかかりやすい人の傾向が指摘されていますが、原因は特定されていません。

膀胱炎は女性だけがかかる病気ではありませんが、女性は尿道が3、4cmと短いため、男性に比べて大腸菌などが膀胱に入りやすいのです。しかし、健康な人であれば大腸菌などが膀胱に入っても感染して炎症を起こすことはありません。過労や、風邪などの他の病気などで抵抗力が落ちていると、膀胱内で菌が繁殖し、膀胱炎となります。

膀胱炎の症状は軽いものであればトイレが近くなる(頻尿)、トイレに行きたいと思って行ってもあまり尿が出ない、排尿しても残っている感じがある、下腹部(膀胱のあたり)が熱いような感じする、などです。炎症が進むと、排尿時に痛みがあったり、尿に血が混じったりします。膀胱から炎症が進んで腎盂にいたると急性腎盂腎炎となり、高熱が出たり、背中に痛みが起こったりします。

膀胱炎にかからないための注意事項としては、生理用ナプキンやおりものシートはまめに交換し清潔にする、排便後は前から後ろに拭く、性交時に手指を清潔にする、トイレを長時間我慢しない、下半身を冷やしたり締め付けたりするような下着・服装を避ける、といったことが上げられます。

膀胱炎の治療は、病院で処方される抗生物質を1週間程度服用します。症状は3日程度で収まることが多いのですが、途中で薬の服用をやめてしまうと菌が残り、体力が低下したときなどに膀胱炎を繰り返すことになってしまいますので、指示された期間薬を飲みましょう。膀胱炎の治療中は、安静にする、水分を多くとってまめにトイレに行く、体を冷やさない、辛いものなどの刺激物を避ける、といったことに注意します。また、抗生物質の服用によって、腸や膣内の有用な常在菌も死んでしまい、便秘や下痢、膣炎など、体調を崩すこともありますので、治療中、治療後は無理をしないように生活リズムを整えることを心がけ、膀胱炎以外の症状が出たら医師に相談するようにしてください。

膣炎

膣には本来自浄作用があるのですが、さまざまな原因で膣の抵抗力が弱った場合や性行為などで菌が感染し、膣炎が起こります。代表的なものに非特異性膣炎、膣カンジダ症、膣トリコモナス症、淋菌性膣炎などがあります。

高齢者がかかりやすい萎縮性膣炎は女性ホルモン量の低下により、膣の粘液分泌量が減ったり、膣壁の柔軟性が低下したりすることによって起こります。

外陰部や膣が蒸れた状態で高温多湿の環境を作ると、特にカビの一種であるカンジダ菌が繁殖し、膣炎を起こしやすくなります。

また、膣や外陰部の粘膜が蒸れるとかぶれやすくなります。下半身を締めつけるきついガードルやきついジーパン、蒸し暑い季節のパンティストッキングなどの着用は、蒸れの原因となりやすいので、通気性がよくなるようにあまり締め付ける下着、服は避け、ガータータイプのストッキングなどを利用するとよいでしょう。さらに、膣炎を起こしやすい人は、クロッチ部分だけではなく、綿100%の下着の方がおすすめです。

生理用ナプキンやおりものシートなどは、トイレに行くたびに交換しましょう。生理用ナプキンは、最近では通気性・吸収性・装用感が高まり、経血による不快感がしないものが増えていますが、長時間そのままにしていおくと雑菌が繁殖しやすくなります。特に装用感の少ないタンポンは交換の回数が少なくなりがちなので注意が必要です。

ニオイなどを気にして、膣の中まで石けんで洗ったり、ビデを使いすぎると、かえって膣の自浄作用を弱めてしまいます。生理のときなど、外陰部はしっかり洗っても膣までは洗わないように、また外陰部はこすりすぎずにそっと洗いましょう。石けんを使うと刺激を感じるようなときには、低刺激石けんにしたり、お湯だけで洗うのでも良いでしょう。

膣内は乳酸菌などの常在菌によって弱酸性の状態が保たれ、感染を防いでいますが、風邪や睡眠不足で体力が落ちたときにも、膣の自浄作用が弱まり、菌が侵入しやすくなったり、繁殖したりします。インフルエンザや膀胱炎などの感染症、抜歯などの外科手術後の可能防止などのために抗生物質を服用すると、有用な常在菌も死んでしまい、膣内の菌層の状態が変わって、カンジダ膣炎にかかることもあります。感染症や外科手術のあとは抵抗力も落ちていますから十分に休息をとって無理をしないようにしましょう。

膣炎が完治しないうちに治療を中止すると、再発を繰り返してしまいます。異常を感じたら必ず受診し、完治するまで治療を続けましょう。また、性行為で感染する膣炎では、パートナーも一緒に治療を受ける必要があります。

卵巣がん

卵巣は子宮の両わきに各ひとつずつある楕円形の臓器です。卵巣の大きさは通常親指大(2、3cm)で、生理周期に合わせ、周期的に女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を分泌しています。


卵巣にできる腫瘍の約8割は両性のものですが、卵巣がんは、卵巣のできる悪性の腫瘍です。卵巣がんは、通常はヒトの体をがんから守るはたらきをする物質を作るための遺伝子(がん抑制遺伝子)の異常によって発生すると考えられています。

 このような遺伝子の異常が原因で発生する卵巣がんは、肉親に同様の卵巣がんにかかった人がいる場合は、卵巣がんにかかるリスクが高くなり、家族性卵巣がんの家系があることが知られています。

卵巣がんの症状は、腹部の膨満感(ぼうまんかん)、下腹部痛、月経時以外の不正出血、便秘、トイレが近くなる、などのものです。スカートやパンツのウエストがきつく感じる、といったこともあります。

卵巣がんから腹膜に転移した場合は、腹水、胸水がたまることもあります。卵巣腫瘍の大きさが5cmを超えると、卵巣腫瘍茎捻転によって卵管が壊死を起こし、激しい腹痛やショック症状を起こすことがあります。
卵巣がんには、転移しやすいタイプと転移しにくいタイプとがあり、転移しやすいタイプでは、腹膜、リンパ節への転移が多く見られます。

しかし、卵巣の腫瘍がかなりの大きさにならないとこれらの自覚症状が現れにくいことが、卵巣がんの早期発見を遅らせる原因となっています。

卵巣がんの診断は、まず腫瘍の有無を確認する方法としては経膣ブローブによる超音波診断が主なものです。また画像診断としてMRI、CTが用いられます。

血液検査による腫瘍マーカーも用いられますが、転移のあるがんは発見されやすいのですが、転移しないタイプの卵巣がんの早期発見にはあまり適していません。

卵巣にできた腫瘍が、悪性のものであるのかどうかを正確に診断するためには腫瘍を摘出して、細胞を調べる病理検査を行います。

卵巣腫瘍は、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がんなどの他の女性特有の病気と比べて自覚症状が現れにくく、卵巣がんの発見が遅れがちですが、特に下腹部の膨満感、ウエストサイズがきつくなるなどの自覚症状が会った場合は、早めに婦人科を受診するようにしましょう。


子宮がん

子宮がんには、子宮の入口にできる子宮頸がんと、子宮内部の奥にできる子宮体がん(子宮内膜がん)の2種類があります。

近年、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると子宮頸がんのリスクが高くなることが分かってきました。ヒロパピローマウイルスは性交で感染する性感染症のひとつなので、性交経験年齢が低い人、妊娠・出産経験が多い人のリスクが高くなりますが、性交経験のあるすべての女性に、ヒトパピローマウイルスに感染している可能性があります。ただし、ウイルスに感染したからといって、すべての女性が子宮頚がんになるわけではありません。

子宮頸がんは初期にはあまり自覚症状がありません。がんが進行すると、不正出血や性交時の出血、おりものの量が増える、などの症状が現れてきますが、早期であれば、がんの摘出範囲も小さく、手術後の妊娠・出産も可能なので、自治体が実施する子宮頸がん検診などで定期的に検査をし、子宮頚がんを早期に発見できるようにしましょう。検診は、子宮の出口を綿棒でこすって細胞を採取し、細胞診を行うもので、痛みもなく短時間ですみます。

子宮体がんはエストロゲンの影響を受けて発生すると考えられ、月経不順などのホルモンの乱れがある人のリスクが高くなります。また、特に閉経後、女性ホルモンの代謝は脂肪も関係するので、高脂血症、肥満の人のリスクも高くなります。

現代は、女性の初潮年齢が低く閉経年齢が高くなっていることに加え、子供の数が減り、出産しない女性も増えているため、昔の女性と比べて生涯に経件する生理の回数が増えています。

生理によるエストロゲンの変動が多いことが子宮体がんのリスクを高めているとも考えられます。子宮体がんは、比較的初期から不正出血、月経過多、生理痛などの症状がありますが、月経異常と間違われやすく、見逃されてしまうことがあります。自治体で行う子宮がん検診は子宮頸がんを対象としていることが多いので、子宮体がんについては、婦人科で検診を行いましょう。

子宮体がんの検診は、子宮内部から細胞を採取して行う細胞診、超音波診断です。

子宮頚がん、子宮体がん、どちらも早期に発見されればそれだけ手術等治療による負担も小さく、完治する可能性が高くなります。月経異常や不正出血など、いつもと違うからだの変化が会った場合は、早めに婦人科を受診するようにしましょう。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の壁を構成する子宮平滑筋の一部が増殖してこぶ状に変化した良性の腫瘍です。
20~50代の女性に見られます。実際には、米粒大のものまで含めると、40代のほとんどの女性に子宮筋腫があるといわれています。

子宮筋腫ができる原因はまだはっきりとは分かっていません。もともとの体質に加え、女性ホルモンのエストロゲン・プロゲステロンの作用で、筋腫が大きくなっていくものと考えられています。

子宮筋腫の症状には、経血過多、月経時の出血持続期間が10日以上と長くダラダラ出血が続く、不正出血、月経周期が長い、月経時にレバーのような血の塊が出る、貧血、おりものが増えた、(筋腫によって腸が圧迫されるために)トイレが近い・便秘であるなどがあります。

症状の重さは子宮筋腫の大きさとはかならずしも一致せず、子宮の外側に向かって成長していくタイプの筋腫の場合、筋腫が1、2kgほどに大きくなっていても痛みや出血などの症状がないこともあります。

一方で、子宮内で下部に向かって大きくなる筋腫では、受精卵が着床しにくく不妊の原因となったり、流産や早産になりやすくなることがあります。

子宮筋腫の検査は、内診や超音波検査、血液検査、MRI検査などです。

子宮筋腫の治療には薬物療法と手術療法とがありますが、筋腫が小さく、日常生活に支障がなければ、特に治療をせず、検診のみで経過観察することもあります。筋腫が大きくて日常生活に支障がある場合や、月経痛がひどい場合には、治療を行います。

薬物療法ではホルモン剤(Gn-RHアナログ製剤)が使われます。Gn-RHアナログ製剤は、脳のホルモン中枢に働きかけて一時的に閉経したような状態を作り出し女性ホルモンの分泌を抑制して筋腫を小さくしますが、副作用として更年期様の症状が出やすくなります。そのため、半年程度しか継続して用いることができませんが、服用をやめると再び子宮筋腫は元の大きさに戻ってしまいます。

手術は、子宮筋腫のみを摘出する方法、子宮を全摘出する手術、また開腹手術と内視鏡による手術があります。筋腫のみを摘出した場合、複数の筋腫があった人では手術後も再び筋腫ができる可能性もあります。

どのような手術を行うかは、年齢や今後妊娠を希望するかどうか、悪性腫瘍や卵巣嚢腫などの合併があるか、症状の重さ、などによって異なりますので、医師と相談し、納得の行く方法を選択するようにしましょう。


卵巣嚢腫

卵巣嚢腫は、卵巣にできる両性嚢腫の約9割を占めます。

卵巣嚢腫は嚢胞(袋)の中にたまるものの種類によっていくつかのタイプに分かれます。

卵巣の表面をおおう上皮から発生し、中にサラッとした液体がたまる「漿液性嚢腫」、ゼラチンのようにドロドロした粘液がたまった「粘液性嚢腫」、子宮内膜の組織や血液がたまるチョコレート嚢腫、髪の毛や歯、骨、皮膚が入っている類皮嚢腫(奇形腫)などがあります。

卵巣嚢腫にははっきりした自覚症状がなく、婦人科検診や他の病気のための検査で発見されることが多い病気です。気がつかないままこぶし大まで卵巣嚢腫が大きくなって初めて、下腹部の圧迫感やちょっと痛みが現れてくることがあります。中には卵巣嚢腫に気づかないまま、子供の頭大まで大きくなっていることもあります。

卵巣嚢腫の原因は、子宮内膜症であるチョコレート嚢腫以外は、ほとんど分かっていません。また子宮内膜症自体も原因や発生のメカニズムはいまだに不明です。

卵巣嚢腫が大きくなると、大きくなった卵巣嚢腫のために卵巣がねじれて卵管茎捻転となり、突然激しい下腹部痛やショック症状を起こしたりすることがありますし、卵管が大きくなった嚢腫のために引き伸ばされて不妊症の原因となる可能性もあります。またチョコレート嚢腫がある程度大きくなると、破裂して腹膜炎を起こすこともあります。

卵巣嚢腫の検査は、内診や超音波検査、血液検査、MRI検査などです。

卵巣嚢腫が発見されても、直径2、3cm程度の大きさで嚢腫が良性のものであれば、定期検査を受けながら経過を観察します。また、閉経すると卵巣嚢腫は自然と萎縮していきます。

卵巣嚢腫の直径が5、6cm以上になると、良性であっても、手術が必要になる場合もあります。これから妊娠を希望する方の場合は、嚢腫部分だけを摘出します。卵巣嚢腫の手術は内視鏡手術であれば、回復手術に比べて傷も小さく、患者の負担も少なくなります。ただし、嚢腫部分だけを摘出したり、片側の卵巣だけを摘出した場合、残った卵巣に再び嚢腫ができる場合もあります。

卵巣嚢腫は自覚症状が少ないためにある程度大きくなるまで見つかりにくいのですが、知らずに放置すると、危険な状態になることもありますので、下腹部に引き連れるような感じや圧迫感など、いつもと違う感じがしたときには、早めに検査を受けましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮内膜細胞が、子宮内以外の場所で生理周期に合わせて増殖することによってさまざまな症状を起こす病気です。

子宮内膜症は、子宮筋(子宮腺筋症など)や卵管、卵巣(チョコレート嚢胞)、または大腸近辺など、多くは腹腔内に発生しますが、肺、脳、リンパ節など子宮から遠く離れた場所に発生するケースもあります。

子宮内膜症の症状は発生する場所によって違いますが、子宮近辺、卵巣などで起きた場合は激しい生理痛、経血過多、性交痛、月経時の吐き気、月経時以外の下腹部痛や腰痛、肺便通などがあります。

子宮内膜症の人が必ずしも不妊症となるわけではありませんが、不妊症の人の20% 程度が内膜症である、というデータもあります。

子宮内膜症の原因は、子宮内膜細胞が月経時に逆流する、ダイオキシンの影響などいくつかの説がありますが、はっきりとした原因やメカニズムは不明です。

子宮内膜症の治療法は大きくわると、服薬と手術です。

まず、子宮内膜症に伴う激しい生理痛を緩和するための鎮痛剤(ロキソニン、ポルタレンなど)の処方ですが、鎮痛剤には内膜症自体を解消する効果はありません。

次に、ホルモン剤による治療です。

経口避妊薬としても使用されるピルは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)の両方を含み、服用している期間中は卵胞の成熟と排卵、子宮内膜の増殖が抑制されます。

また、卵巣から生理周期に合わせて分泌される女性ホルモンによって内膜症が進行することを防ぐ効果も期待できます。ピルを服用していても生理痛が残る場合は、鎮痛剤を併用することも可能です。

また、脳のホルモン中枢に働きかけて排卵をストップするGnRHアナログ製剤によるホルモン療法もあります。GnRHアナログ製剤は月経そのものをストップするため、服用中は生理痛は完全になくなりますが、更年期用の症状が出る副作用があり、長期には使用できません。

ただし、ホルモン療法では、服用中は妊娠をしないため、妊娠を望んでいる方には用いることができません。妊娠を望んでいる人の場合、漢方薬によって体質・内膜症の症状を改善している、という方法がとられることもあります。

ホルモン療法で内膜症が改善しなかったり、卵巣に発生したチョコレート嚢胞が破裂する恐れがある場合など、腹腔鏡による手術を行うこともあります。

子宮内膜症は原因や決定的な治療法がはっきりとせず、閉経まで付き合っていく可能性が高い病気です。年齢やライフスタイル、妊娠を望むかどうか、などを考え、治療法を選択することが大切です。

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