低血糖症とは

低血糖症とは

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低血糖症とは

低血糖とは、血糖値(血液中のグルコース濃度)が低くなった状態です。

低血糖と言うと、糖尿病のインスリン注射が効きすぎた場合をイメージすることが多いと思います。また、特殊な腫瘍が原因で起こる低血糖もあります。

しかし、糖尿病や腫瘍ではなく、一般の人にも血糖状態と言うのは頻繁に起きていると考えられています。

血糖値は食後4、5時間たてば自然と下がり、「お腹がすいた」と認識されますが、「低血糖症」とは、糖からエネルギーを作るという、非常に重要な代謝の機能がうまく働かなくなってしまう、といういわゆる代謝異常の状態です。

このような「機能的に血糖の調節がうまくいかなくなり、血糖が下がってしまう」状態を、機能的低血糖症といいます。

現代の日本のように、食べ物が容易に手に入る社会では高血糖=糖尿病の危険がクローズアップされていますが、本来、体にとっては低血糖の方がより危険な状態です。よく、脳はブドウ糖しかエネルギー源にできない、と言われますが、脳だけではなく、体のあらゆる機能は血液中の糖代謝が関係しています。生理に関係する子宮や卵巣の働きも同じです。

ではなぜ血糖値が下がってしまうのでしょうか。

実は、砂糖、果糖液等ブドウ糖のような単純な構造の糖類を摂り過ぎることで低血糖症が起こります。「甘くない」精白米や白いパン、麺類にも砂糖と同じような影響があります。

砂糖などは全粒穀物や野菜に含まれる複合多糖類と違い、消化によって分解される必要がなく、食べるとすぐに吸収されるので、血糖値が急激に上がります。

体には、血液中の糖を一定の範囲に保つ働きがありますので、血糖値が急激に上がると膵臓からはインスリンが大量に放出されます。インスリンによって血糖値が急激に下がると、今度は血糖値を上げようとしてアドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺ホルモンなどの複数のホルモンが放出されます。アドレナリンやノルアドレナリンは「攻撃ホルモン」と呼ばれ、強いストレス状態で作用するホルモンです。ですから、血糖値が急激に下がって過剰にこれらのホルモンが分泌されると、ストレス下にあるのと同じような状態になり、イライラする、動悸、頭痛、肩こり、消化器系の不調、末端の冷え(血液循環不良)などを引き起こします。このような血糖値の急激な上昇、下降を繰り返すことで自律神経系、ホルモン系のバランスが崩れ、生理痛をはじめ、不快な症状が起きてきます。

もちろん、単糖類を過剰に摂取することで誰もがすぐに機能的低血糖症になるわけではありません。低血糖症の症状が現れるかどうかは、消化吸収能力などの体質や、ストレス状態など他の要もあります。

低血糖症の症状

機能性低血糖症では、血糖値をコントロールする機能がうまく働かず、血糖値が低い状態が続いたり、急激に血糖値が低下したりしている状態です。そのために、ホルモン分泌や自律神経の乱れを引き起こします。低血糖にはさまざまな症状がありますが、その多くは自律神経症状や精神症状にかかわっています。

血糖が低下することで、頭がボーとする。眠くなる。片頭痛がおきる。身体がだるくなる。などの症状がおきやすくなります。

血糖値が下がると血糖値を上げるためにアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌されますが、アドレナリンやノルアドレナリンは糖を細胞内から血中に出す以外にも、交感神経を刺激し、筋肉を収縮させ、緊張状態を作って、全身にさまざまな影響を及ぼします。

低血糖症の人の多くが、だるい、疲れやすい、肩が凝る、不眠傾向がある、手足が冷えやすいといった身体症状を持っています。女性では冷えに伴い、生理痛やPMSを訴える人もいます。また、精神症状として、イライラして切れやすい、落ち込みやすい、甘いものがやめられない、過食傾向がある、パニックになる、といった症状が見られます。

また、砂糖などの単糖類が過剰になる食生活では、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの他の必要な栄養素が十分に摂れていないことが多いのです。

たんぱく質が不足すると疲れやすくなります。またたんぱく質は、体を構成する筋肉や血管だけではなく、神経伝達物質の材料にもなり、不足するとキレやすくなったり、イライラしたりします。

ミネラルの中でも鉄や亜鉛の不足は、キレる、イライラする、疲労感、うつなどにかかわります。

ビタミン類では、特にビタミンB群は摂取不足だけではなく、砂糖などを摂れば摂るほど消費されてしまいます。血液中の糖を細胞内に取り込む糖代謝ではビタミンB群が使われるためです。ビタミンB群には、このエネルギー代謝の他に、脳・神経系に作用する働きがあります。不足すると、エネルギー代謝がスムーズに行われずに疲労感、だるさの原因になり、イライラ感や、抑うつ症状、パニック発作にも影響します。

低血糖によって自律神経やホルモンのバランスが乱れ、栄養素が不足していることは、生理痛についても痛みを増す原因になると考えられます。

低血糖症と生理痛

生理痛が起きる一因に低血糖症があることが考えられます。

血糖値が低くなると、血糖値を上げるためにアドレナリンが放出されます。アドレナリンによってストレス下にあるときと同じように体の緊張状態が生じ、血管・筋肉は収縮します。そのために骨盤内をはじめ、全身の血行が滞り、うっ血、低体温を起こします。

生理痛の主な原因は、子宮内から経血、子宮内内膜がスムーズに排出されずに、子宮が強く収縮して周辺の腹膜や内臓が引っ張られる痛みなので、血液中のアドレナリン濃度が高いと、生理痛が起こりやすい状態になっていると言えます。

また、低血糖症ではインスリンやアドレナリンが、シーソーのように過剰に分泌される状態が繰り返され、自律神経系やホルモンのバランスが乱れています。

生理周期はエストロゲン、プロゲステロンなどの女性ホルモンの働きによってコントロールされ、月経時の気血排出もプロスタグランディンというホルモンの働きによるものなので、自律神経系、ホルモン系が乱れているときには、生理に関係するホルモンのバランスも乱れやすくなっています。

また、生理時に頭痛になりやすい人もいますが、低血糖になると脳に優先的に糖を配分するため、頭部の血管が拡張することによって偏頭痛が起こるとも考えられています。

生理痛だけではなく排卵後から生理前に起こるPMSも低血糖に原因がある、という指摘があります。

通常、血糖の調節機構は食後4~5時間で働き、体内の糖を上げるためにアドレナリンが放出されます。しかし、生理前には、血糖値の調節機構は食事の後3時間程度で作動してしまい、普段よりもアドレナリンが放出されやすい状態になっているのです。もともと食生活や体質などの理由で低血糖になりやすい人は、PMSの時期から生理時にかけてさらに低血糖の症状が現れやすいといえます。

生理前になると甘いものが食べたくなったり、食べ過ぎたりする傾向が見られるのも黄体期に低血糖になりやすいためなのですが、甘いもの=砂糖を過剰に食べてしまうと、かえって低血糖の状態を招き、PMSや生理痛の症状が悪化することになりますので、注意が必要です

低血糖症、という診断を受けていなくても、玄米や甘みのある野菜などGI値の低いものを選ぶ、食事の回数を増やして長時間空腹にならないようにする、など食事に工夫をするとよいでしょう。

低血糖症の治療

低血糖症が疑われる場合、低血糖症であるかどうかの診断は、5時間の糖負荷検査(OGTT)により行われます。

5時間の間に9回の採血を行い、血糖値、インスリン値、体温を測定します。また、5時間の負荷検査中にめまい、頭痛、抑うつ、発汗などの低血糖の症状が現れるかどうかも診断の基準となります。低血糖の症状が出ることを前提に、 5時間空腹な状態で行い、費用も自費負担となるので、患者によっては負担の大きな検査となりますが、低血糖症の診断には必要な検査です。

低血糖症であることが診断された場合、治療は、血糖値を安定させる食事療法と不足している栄養素を補う医療用サプリメントの処方によって行われます。

食事療法では、GI値、GL値の低いものを食べる、たんぱく質を十分に摂る、食事の回数を増やす、コーヒー(カフェイン)・タバコ・アルコールなどの刺激物を避けることが基本になります。

GI値とは、グリセミックインデックス(グリセミック指数)といって、食品に含まれる炭水化物50グラムを摂取したときの、血糖値上昇の度合いを測る指数で、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表しています。

GL値はグリセミックロード、グリセミック負荷といって、食品中に含まれる炭水化物の量も含めた指標で、グリセミック指数を100で割り、炭水化物の重さのグラム数をかけて算出されます。たとえば、ニンジンなどの野菜のGI値が高い、といっても野菜に含まれる炭水化物の量は穀物やイモ類に比べて少ないので、その分も考慮した指数となっています。

穀物では玄米などの全粒穀物、パンは粉状になっているために米よりも血糖値が上がりやすいのですが、その中では全粒穀物のパンを選びます。果物は単糖類である果糖を多く含むので、治療中は注意が必要です。ドライフルーツも糖分が凝縮されていますので、治療中は薦められないことが多いです。
タバコやコーヒーなどの刺激物は、アドレナリン・ノルアドレナリンを分泌する副腎を刺激するため、低血糖症の治療では控えます。

栄養療法では、血液検査の結果、たんぱく質、ビタミン、鉄、亜鉛、ナイアシンなど不足している栄養素をサプリメントで服用します。

食事療法と栄養療法によって低血糖症の改善をはかりながら、生理痛・PMSなどの症状があれば漢方薬や西洋医学も併用して対症的に症状の緩和を行うこともあります。

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